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◆第3回セミナーレポート 日時:2007年11月10日(土) 午後1時30分〜4時30分まで 場所:中京区高倉通り・錦上ル 四条高倉スカイハイツ内 2F集会室
1.「マンションと歴史都市の未来」のまとめ 講師:谷口浩司氏 (佛教大学教授・地域社会学) 配布講演資料「マンションと歴史都市の未来」(A4、1頁)
新景観政策から生じたマンション問題の文脈 1.京都の街の成り立ちとして、今回の新条例は、高さだけが問題なのか。条例の背景にあるのは国の景観緑三法(注1)で、緑を大切にしようとしているときに、北大路の街路樹は、まだ青々としているのに丸刈りにされています。 2.1980年代には、西陣の機の音が消えていき、90年代には室町の染めが衰えていきます。そして伝統産業の後退にともなって、マンションが建っていきます。 3.2001年に京都市からマンションの悉皆調査をたのまれて、3ヶ月という極めて短期間で結果を出すことを求められ、そのときのマンションの数は、1,143棟でした。私は、地域の問題としてマンションを考え、マンションについての組織化が必要であると考えます。 4.京都の街の成り立ちは、「鳴くよ鶯平安京」794年の政治的威厳としての「計画都市」として始まり、私的経済が先行する自由都市へと変貌し、それをどのように制御していくかという課題があります。 5.今日、京都の都市構造は三層の構造、すなわち(1)山紫水明としての自然の層(三山と川)、(2)歴史文化の層(御所と神社仏閣)、(3)現代社会(暮らし)の層であり、それらが相互に浸透しあっているところに京都らしさがあります。例えば、五山の送り火は、山と宗教と暮らしが、春の葵祭、夏の祇園祭、秋の時代祭はそれぞれ、朝廷、町衆、近代市民の景色です。 6.「京都らしさ」は今、揺らいでいます。景観問題は、その揺らぎの一つであり、そこからどのように脱却するかを考えていかねばなりません。 7.マンション住民は加害者でしょうか。そうではありません。マンションは、もはや社会的に不可欠な存在です。 「京都らしさのシステム」の復元 8.市内の伝統産業、和風の製造業(織物や染め物など)をふりかえると、明治時代、繊維業はむしろ近代産業として拡大しています。しかし、繊維業はバブル崩壊の中で後退し、代わりに電気・機械が台頭して、その跡地に土地の高度利用としてマンションが建っています。最も集中したのが田の字地区です。 9.その建ち方も2種類あり、例えば御池通に面した大規模マンションは、東京資本で行われ、その2階の展望室からみる祇園祭の山鉾巡行は、最高ですが、その足下の地域ではよそ者扱いされて、地域のコミュニティとは絶縁状態です。一方、太子山の町内に建ったマンションは、地元の設計事務所の調整により、セットバックして、高いものを建てているにも関わらず、前面に確保された空地が祇園祭の祭礼の場になり、足下のコミュニティに根ざしています。このような状況、つまりマンションに内在する自治的管理を生かし、地元の町内会と折り合いをつけることを、景観の内景と呼び、姿・形としての景観を外景と呼び、景観は、この内景と外景の両者から考えていかねばなりません。 10.町内会の歴史を見ると、明治元年に天皇が東京に移ったとき、京都は応仁の乱にまで遡る町・町組が、小学校を64校建てました。その中から数多くの人材が育ち、その人たちによる多くの文化財が各小学校に残されています。それらの小学校は、伝統産業の後退と高齢化による人口減少で統廃合されていますが、元学区として現在も残っています。その町・町組の自治の伝統を継承する町内会は、マンションに甦っています。そのような内景をおろそかにし、外景としての景観だけでは、本当の京都の再生にはならないでしょう。いわんやマンション住民を悪者にして、そのツケを回すようでは理解はえられません。 11.新景観政策は、二度欧州を視察した京都の経済界の後押しがありますが、外景だけでなくもう一歩踏み込んで内景にまで目配りした後押しを期待したいものです。 「都のマンション」に変身しなければならない歴史的大事業 12.冒頭で述べました2001年のマンション調査によると、中京区を中心とする都心のマンションは、(1)戸数規模の小さいものが多い(50戸以下)、(2)集会室を備えていない(コミュニティ活動に支障をきたす)、(3)管理組合の役員のなり手がいない などの実態が浮かび上がります。これらの実態は、建替えに際して支障を来すことが予想される条件です。 13.阪神大震災では、国は、補修費用は出さないが、建替えのための撤去費用を出すことを決め、マンション住民の意向とは関わりなく、官民学会一体で建て替えがすべてという流れになりました。穏健な補修を主張する人たちを刺激し頑強な抵抗にあって、建替えは安易には進みませんでした。マンションにおける意思形成はとても難しいことがわかります。 14.内景とは、マンションに内在する自治的管理能を生かし切る力であり、それが町の歴史を繋いでいく原動力であります。 15.マンションは、30年、40年では「へたれ」ません。今のところは管理をどのように進めるかが課題であります。その先に建替え問題が生じるでしょう。 16.まち全体の価値実現は、個々の町家がそうであるように、一つには個々のマンションの在り方を通じて実現されていくものと考えられるでしょう。
注1 景観法・都市緑地保全法等の一部を改正する法律・景観法の整備に伴う関係法律の整備などに関する法律。 配布された講演資料に記載参考文献 1. 佛教大学総合研究所編『成熟都市の研究 京都のくらしと町』法律文化社、1998。 2. 地域社会学講座第3巻『地域社会の政策とガバナンス』東信堂、2006。
2.「不適格マンション問題にどうとりくむか」 講師:自由民主党・加藤盛司市議 1.市議会で、新景観政策は全会一致で可決されているが、自民党としては、最後まで賛否について議論がなされていた。 2.理由:横須賀市と真鶴町に視察に行ったとき、真鶴町が景観条例に引っかかるマンション8棟については、景観条例適用を免除すると聞き、京都市の場合も「これだ!」と思ったが、そうなっていかなかった。議会運営上、付帯決議を付けることを条件に賛成したという事情である。 3.京都市の場合、これまで2件のマンション建て替えがあった。それらは道路の拡幅を原因とするものであった。 4.京都市に聞くと、震災などで建て替える場合は、規制を外すと言っている。老朽化による場合は、優良な建築計画については、容量ボーナスを認めるなど、マンション住民の不利にならないように柔軟に考えていくべきだと思っている。(加藤市議HP「ひとこと」07/11/11参照)
3.「不適格マンション問題にどうとりくむか」 講師:共産党・佐藤和夫市議 1.景観政策は遅きに失したというのが、党の見解である。しかし、その景観政策は、手続き的に抜けている点が多々あると考える。 2.既存不適格ということは、60年代後半に日照権問題として、日影規制に引っかかる場合の建て替えは、規制に適合せねばならない。耐震性についても、旧耐震で建てられている建物は、新耐震で建て替えねばならない。 3.京都の景観を残すためには、高さ規制は必要であるが、市はそれに伴う問題に気づいていない。 4.市は、マンションの全数調査を終え、築30年のものの調査をはじめている。その中で判明してきたことは、長期修繕計画が不十分であり、積立金もない、また入居者の高齢化が進んでいるが、バリアフリー化のための資金もない。しかし市は、私の事柄に補助金を出すこともできないと言う。 5.外壁塗装にも手がつけられない。耐震については、恐くて診断を受けられないという状況である。 6.このようにマンションには、「二つの老い:ハード(建物)の老いとソフト(管理組合組織・入居者)の老い」がある。市はそれらに対してバックアップシステムを構築すべきである。 7.これまで、国は、スクラップアンドビルドを方針としてきており、これまでの建て替えは、実態的にアップゾーニングのみで行われている。それなのにダウンゾーニングの方針を打ち出すことは、だまし討ちではないか。 8.マンションは、時間経過とともに目減りする一方というわけではない。管理を十分にすれば価値は上がる。 9.マンション建設反対運動への参加を求められることがある。伏見の酒蔵跡地に、地主がマンションを建てた例では、その地主が、1/4の戸数を所有しているので管理運営上、その地主が拒否することは何も出来ないことになる。 2007年11月10日(土)
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